石舟庵の思い

伊豆に生きる。

伊豆には、世界からも注目される素晴らしい自然があります。美しい海、緑深き山々、四季を通じて咲き誇る花たち。 多様な風土と、ひとの営みによって育まれる、みずみずしい果実や野菜。 複雑な地形から湧き出る、清らかな天然水。そして、積み重ねてきた歴史と文化もまた、伊豆の宝です。 石舟庵は、創業以来、この地に根ざし、大自然がもたらす貴重な恵みと、特有の文化を大切にしながら、伊豆とともに、歩んでまいりました。
私たちは、今日も、これからも、ずっと、伊豆のゆたかさをお菓子に託し、みなさまのもとへと、「石舟庵」をお届けします。

笑顔を創る。

お菓子には、ひとを笑顔にする力があります。そのやさしい甘さと、 まるで伊豆の景色を映すかのような色、形、香りに、思わず笑みがこぼれるでしょう。 お菓子は、贈りものでもあります。あなたの大切なひとのもとへ届いた瞬間をイメージし、 手にしたときから嬉しくなるような、美しくて、清潔感があって、季節を感じられる装い。

笑顔は、ひとを幸福に導きます。お客さまの笑顔が、私たちの笑顔になり、 素材を分けてくださる生産者さんたちを笑顔にし、伊豆を愛するすべての人の笑顔に広がっていく。

つくっているのは、笑顔。石舟庵がお菓子に込めているもの。それは、ひとの幸なのだと思うのです。

原点を大切に。

石舟庵のルーツは、終戦まもなくの昭和23年にさかのぼります。 世の中が戦後の混乱にあった時代、伊東の地へ疎開してきた創業者の母、髙木イツが、自転車で飴を行商して売り歩いたことが始まりでした。 その後、店を構え、家族みなで力を合わせて羊羹などの製造をはじめたのが昭和30年頃のこと。 昭和36年に伊豆急行が全線開通すると、観光客が急増。 当時、銀行員だった創業者である髙木廣一は、子供の頃からの夢であった「自分も伊豆の発展に結びつく仕事をしてみたい」という思いに駆られ、家業である菓子業へ戻ります。 伊豆にちなんだお菓子を次々に開発し、東海岸全域から西伊豆へと、伊豆全域にお客さまを増やしていきました。

そして昭和59年12月、これまで培ってきた和菓子製造の技術と知識をもとに和菓子専門店『石舟庵』を創業します。 屋号の「石舟庵」は、いまから400年以上前、徳川家康による江戸城大修築において、その広大な石垣に使う大石を伊豆の山中より切り出し、 数千隻の舟を用いて海路、江戸まで運んだという誉れ高い歴史にちなみ、名づけました。

創業以来、多くのお客さまにご贔屓にしていただき、お褒めのお言葉を励みに和菓子づくりに精進してまりました。 この創業の精神を忘れずに、伝統の技と新しいおいしさへの挑戦、そして心のこもったおもてなしを、日々続けてまいります。

素材にこだわる。

ひと口、口に含んだときに広がる香りと味覚、イメージされる伊豆の景色。その一瞬の至福を求めて。日本一の生産量を誇る松崎の桜葉。 海を見おろす丘に実るニューサマーオレンジ。太陽の光を浴びて豊かに実るブルーベリー、スイカ。温暖な気候により真っ赤に色づく紅ほっぺ苺。 100年続く酪農の里、丹那で絞られた新鮮な牛乳。美しい自然が広がる伊豆は、ゆたかな四季の恵みであふれています。 私たちは、この伊豆の恵みを和菓子で表現することを使命とし、日々、商品の開発、素材の探究に取り組んでいます。

目指すのは、仕立てのよい和菓子。素材へのこだわりは、伊豆の産物にかぎりません。 代表銘菓「石舟庵まんじゅう」では、創業より最高級とされる沖縄県波照間島の黒糖を使用しています。 もち米は、粘りが最上とされる富山県産「みやこがね」と、香りとしなやかさが特徴の「滋賀羽二重もち」をブレンドし、独特の食感を追求しています。 和菓子の基本となる小豆は、北海道十勝産の契約栽培された最高級の「エリモショウズ」を使用。和菓子の風味は、「素材」により決まります。 全国の産地からあらゆる可能性を探り、丹精込めて育てられた和素材を、ひとつひとつ吟味し、納得のいくものだけを厳選しています。

和菓子を未来へ。

和菓子には、日本人の感性や美意識、価値観が詰まっています。
その歴史を振り返ると、外来の文化などの影響を受けながら、時代時代において、伝来されたものをうまく吸収して自分のものとしたうえで、日本ならではのお菓子に昇華してきました。 素材にこだわり、技術を磨き、つねに新しいものを創造することに、たゆまぬ努力と情熱を傾けてきました。 石舟庵は、先人が守り受け継いできた、この伝統文化を大切に、和菓子の本質を追求しつつ、新しさ、驚きをお届けしたい。 そこにはきっと、笑顔が生まれる何かが秘められていると思うのです。石舟庵が創業以来、ずっと追い求め続けているのは、「本質を感じる、新しさ」なのです。