あしたの大福

砂糖をやめたら日本の味がしました。

糀がひきだす、和素材の風味。
石舟庵の新ブランド
「あしたの大福」はじまります。

「あしたの大福」は、砂糖を使わず、
糀(こうじ)とお米の発酵によって生まれる、やさしい甘さで「和」の素材を味わう、
新しい和菓子です。

和菓子とは本来、日本で育まれた四季折々の恵みを楽しむもの。
ところが、いつの頃からか
砂糖の甘さが「和菓子のおいしさ」になってしまったように思います。
私たちは、和菓子の本質にたちかえり、
「日本の味」のおいしさを再発見する喜びをお届けしてまいります。

どなたでも安心して召し上がることができて、
和素材の風味が際立つ「あしたの大福」。

石舟庵は、ここから和菓子の「あした」を紡いでいきます。

あま糀

「あしたの大福」とは

「あしたの大福」は、「和菓子とは、素材の風味を楽しむもの」をテーマに、砂糖を使わずに和素材のおいしさを表現した、石舟庵の新しいブランドです。 使用する素材すべてにおいて、全国の産地を訪ね歩き、自ら選び抜いた最高級品にこだわりました。
砂糖のかわりに甘さの主原料としたのは、お米と糀(こうじ)の発酵によって生まれる「あま糀(※)」。 その自然な甘さは、素材のおいしさを最大限に引き出してくれます。
ひとくち食べて、きっと驚かれるでしょう。
餅にはお米の甘みが、あんには小豆の風味が際立っていると。
そして、抹茶のほろ苦さ、きな粉の香ばしさ、栗の自然な甘みを味わえば、
「これぞ、日本の味 。」そう感じていただけることと思います。
日本の豊かな風土、美しい風景が目にうかぶ、新しい味覚の旅をどうぞお楽しみください。

(※)あま糀とは、いわゆる甘酒のこと。甘酒には米と糀で発酵した米糀甘酒と、酒粕と砂糖でつくる酒粕甘酒があり、 「あしたの大福」では、自家製の米糀甘酒を使っています。アルコールはまったく含まれておりません。酒粕特有の香りもいたしません。

和菓子の主役とは

「あしたの大福」は、砂糖を使用していません。
砂糖由来ではない「やさしい甘さ」のおいしさを体験していただくためです。
しかし私たちは、砂糖を否定するものではありません。和菓子にとって砂糖は、とても大切な原料です。 甘さはもちろんのこと、しっとり感、やわらかさ、つやなど、「和菓子らしさ」をつくりだすのは砂糖のはたらきによるものだからです。
その一方で、砂糖には素材のもつ繊細な風味や香りを隠してしまう側面に気づきました。
和菓子の主役が、砂糖であっていいのだろうか。私たちは考えました。

日本には四季折々の自然の恵みがあります。
その味、色、香りを通じて季節を愛でる。そんな日本人の感性に響く、素材の味わいを主役にした和菓子をつくろう。 砂糖にたよらない「新しい甘さ」の開発に踏み出したのは、そうした理由からでした。

発酵×和菓子
「あま糀」で表現する、プリミティブな菓子

砂糖を加えなければ、和菓子はつくれない。和菓子の世界では常識でした。
あえてそのタブーに挑戦し、十年以上にわたる試行錯誤の末、自社開発の「あま糀」とオリゴ糖(※)を用いることで、 砂糖を使わない「糀あん」の開発に成功。
この取り組みは、和菓子文化と発酵文化の融合でもありました。
糀あんのおだやかな甘さは、いままで感じられなかった素材の風味や香りを引き出します。 私たちが長年挑戦してきた、「日本の味」を楽しむ和菓子がようやく誕生したのです。

「あしたの大福」は、からだにもやさしいお菓子です。あま糀の自然な甘さは、「飲む点滴」と証されるほど栄養が豊富。 栄養の消化吸収を助け、疲労回復、免疫力アップにも役立つとされています。 また、自然のおいしさを大切に、保存料、着色料、香料などの添加物は加えていません。 乳製品や小麦粉も使っていませんので、小さなお子さんからお年寄りまで、みんなが安心して食べられる「毎日のお菓子」です。
「より健康的であること」は、これからの時代、ますます求められるでしょう。 私たちは「あしたの大福」を通じて、アレルギーや、グルテンフリー、ベジタリアンなど「食の制限」のある方々にも喜ばれる 健康的でプリミティブなお菓子の開発に努めてまいります。

(※)フラクトオリゴ糖は、消費者庁が許可をした特定保健用食品の成分として認められている糖質です。 消化されずに大腸まで届き、腸内善玉菌のエサになり善玉菌を増やします。 人間にとって有害な悪玉菌を抑えるので、悪玉菌が作り出す有害物質を減らすといわれています。

全国の産地を訪ね、最高の素材だけを厳選

あま糀の自然な甘さは、素材の繊細な風味を引き立てます。 そのため、力強く、品のある「風格」を備えた素材が必要になりました。 和菓子専門店として長年培ってきた経験をたよりに、全国の産地を訪ね歩き、現在手に入る最高の国産素材を選りすぐりました。
自ら素材を探究することで、それがどのような土地で作られているのか、生産者のみなさんはどのような心遣いをされて農業に打ち込んでいるのか、 その思いに触れることができました。おいしいさの理由——。産地を訪れ、生産者の話を聞かせていただいたおかげでわかったことです。 産地で教わったことが、「あしたの大福」のおいしさづくりに生きています。

「日本の味」を明日につなぐ

最高の和素材を探し求めるなかで、和菓子のおいしさをつくるのは、日本の風土と人にあると気づきました。 「あしたの大福」は、「日本そのもの」を知り、楽しむお菓子なのです。
そして、素材の質、おいしさの源には、手間ひまを惜しまず、丹精込めてもっといいものを、もっとおいしいものをと日々、 農業にいそしむ人々の努力と熱意がありました。産地の地域性に、人の営みが掛け合わさることで生まれるもの、 それが私たちの考える「日本の味」です。
ところがいま、この「日本の味」の多くが存続の危機に立たされています。高齢化、少子化、後継者不足……。 日本の地域が抱える共通の課題に加え、外国産の安い原料の流通により、希少で高価な国産の和素材はますます衰退の道をたどっています。 一例をあげると、国産胡麻は全消費量の0.1%に。99.9%が外国産となっています。 また、私たちが拠点を置く伊豆は、桜葉の生産量日本一なのですが、後継者不足により、お菓子づくりに使用できる専門店はわずかとなり、 日本で流通している大部分は中国産になり変わろうとしています。
このままでは、10年後、いえ5年後には、国産の素晴らしい品質の素材を手に入れることが難しくなってしまうかもしれません。
和菓子文化は、すぐれた和の素材に恵まれたおかげで発展してきました。その素材が途絶えてしまったら、日本特有の和菓子文化も滅びてしまう。 和菓子職人として、日本の「農」がおかれた現状を伝える責務がある。古来より日本人が守ってきた素晴らしい文化を、未来へつないでいきたい——。 それが私たちの使命であり、願いです。

「あしたの大福」にこめたもの

和菓子なのに、なぜ「あした?」と思われた方も多いと思います。
私たちは、砂糖を使わないあま糀の和菓子を開発するなかで、さまざまな「未来」を思い描きました。 広く和菓子が、人々の健康に寄与したいという未来。素晴らしい日本産の和素材を次代へ受け継ぎたいという未来。 そして、日本の伝統文化である和菓子が50年、100年先も笑顔を創造し続ける未来。私たちは、伊豆の小さな和菓子店に過ぎませんが、 理想とする未来をつくるために、自分たちができることを模索し、愚直に実践していきたいと思っています。そうした意志=WILLを込めて、 「あしたの大福」と名づけました。

私たちは「あしたの大福」を通じて、
「人々が望む健康的な未来」
「和素材の現実と未来」
「これからの和菓子の未来」
を見つめてまいります。